2019年感染症数理モデル夏期短期集中コース(受講者募集)

感染症流行の数理モデルに関心を持つ若手研究者の育成と数理モデルの実用化を 押し進めるために,情報・システム研究機構統計数理研究所の夏期大学院の一 環で,感染症数理モデルの夏期短期コース(正式名称「入門:感染症数理モデルによる流行データ分析と問題解決」)を2019年8月1日(木)から連続10日間で開講することとなりました.過去5年間で約400名の修了者を輩出し、第6回目の開講となります。第6回目も国際コースを継続し、英語開講となります。

同コースは,分野を問わずに参加者を募り,応用数学・統計学・情報科学・物理学などはもちろん,医学・獣医学・薬学・保健学・生物学など,バックグランドを一切限定せずに受講できるコースです.概ね大学院修士課程の学生を中心とする予定ですが,研究志向の高い学部学生や若手からシニアに至るまでの研究者,現場の疫学者や医師・獣医師・保健師などの方にも参加していただけるよう門戸を広して開講いたします.

統計数理研究所の統計思考力育成事業やその他主催・共催研究機関・研究者・後援機関等による関連研究事業などで協力することによって,この短期コースは「無料」で受講できます.欧州や米英国では,数日から4週間程度の期間の同課題に関する入門コースがありますが,それに参加すると受講料だけで35万円ー40万円以上を要し,さらに加えて旅費と滞在費がかかります.学生を中心とする若手にはなかなか容易に参加できません.自らの専門性はもちろんのこと,教育資料やプログラムコード,観察データなど,このために教育研究資料を持ち寄った関連研究者が専門的知識を結集します.主催メンバーらの都合により統計数理研究所での開講は今年度が最後になる可能性が高いです.東京での受講ご検討の皆様は次年度同様の枠組みでの開催は不明ですのでご注意下さい.

ご関心をお持ちの方は,ぜひ受講ご参加下さい.受講資格は特にありませんが、公益性を重視して原則として全日程(或いは、少なくとも8割以上)に参加いただける方としております。原則、事前登録制です.これまでの好評のため、短期間で受講者が定員に達することが見込まれます。受講をお考えの方はお早めにご登録下さい。


■ 情報・システム研究機構 統計数理研究所 統計思考力育成事業 夏期大学院
「入門:感染症数理モデルによる流行データ分析と問題解決」
■ 主催:統計数理研究所 統計思考院,北海道大学大学院医学院修士課程医科学専攻公衆衛生学コース(Master of Public Healthコース)
■ 日時:令和元年8月1日(木)から同月10日(土)の連続10日間(休日なし)
■ 場所:統計数理研究所(東京都立川市緑町10-3)
■ 目的:感染症数理モデルの基礎的考え方と取扱い・発展の方法・データ分析および批判的吟味について,同専門課題に関心のある学生や若手研究者を対象に,短期集中型の入門教育機会を提供すること.
■ 受講料:無料(ただし,交通と宿泊先は各自で手配すること.統数研の宿泊施設は使用不可とする)
■ 受講対象・資格:興味のある大学院学生,若手研究者,感染症対策の従事者など,資格は特になし(ただし,高校理系卒業程度の数学能力を想定)
■ 定員:60名(登録70名までの事前申込制,全日参加可能な方,原則先着順,一部学生優先)
■ 言語:英語
■ 講師陣:
運営責任:
西浦博 (北海道大学大学院医学研究院)
Jonathan Dushoff (マックマスター大学)
Robin Thompson(オックスフォード大学)
斉藤正也(統計数理研究所)
ほか
■ お問い合わせ・申し込み:
短期入門コース運営事務局
idmodelcourse@gmail.com
プログラムおよび申し込み方法は以下のWebsiteへ.
https://idmodelcourse2019.jimdofree.com/

僕たちのletter from burning heart

以下、麻疹・風疹制圧の理論的コンセプトに関する短報が採用されました!
Eliminationというのは、そもそもはIncidenceがゼロになるべきものなのです。しかし、輸入感染症があるために、麻疹制御のプログラム目標として「12か月(あるいは36か月)以上の伝播の持続がないこと」が米国で最初に受け入れられ、それ(プラス高い質のサーベイランスと望ましくはウイルス遺伝子タイプの検討)がWHOでも制圧の定義とされてきました。しかし、制圧された国でいま次々にOutbreakが起こっていて麻疹伝播のChainsはトレースしないとなかなか途切れないというのはおかしくないでしょうか。また、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が昨年にMeasles eliminationの認定を受けました。確かにMeaslesの伝播は少なくなっているのですが、北朝鮮には日本や米国と比較してものすごく少ない頻度で輸入感染者がやってきます。これを同列に12か月や36か月の伝播持続の問題だけで判断していいのでしょうか。誤解を防ぎ、かつ、集団免疫度を確実に定量化するには実効再生産数をモニタリングすることが必要であり、それをEliminationの定義の一部として活用すると諸々がうまくいきそう、と思うのです。

Nishiura H, Kayano T, Kinoshita R. Overcoming the difficulty of achieving elimination goal for measles and rubella due to imported infections: Estimation of the reproduction number R for measles and rubella. Travel Medicine and Infectious Diseases 2019; in press.

リアルタイム研究と臨床復帰した坂本さん、おやじ半年経過後の大志の見事な展開

次の研究がGW中にアクセプトされました。DRCのエボラ出血熱研究は既にオンラインでもご覧いただけますが、研究開始当初からForward calculationによるDelay推定に伴うNowcastingを実施してきたものです。Proper scoreという新しい予測評価など面白いですよ。坂本洋平氏は北大卒の博士3年目の感染症専門医ですが、昨年秋までフルタイムで大学院生・学術研究員をされて今年から慈恵医大病院で臨床に復帰されています。見事、第1著者として2編目の出版となりました!(おめ)CMVの臍帯血のデータをプロットしてみて、時系列でどうやってFOIが動いているのかモニタリングすること、って大事なのにやられていないんですよね。その定式化に成功、です。風疹研究は2012-13年のほうのデータ分析結果ですね。2018-19年のリアルタイム研究は少し慎重に実施しないといけませんが、過去のデータを分析してみても現在の接種対象の男性とほぼ同じ年齢をターゲットにするのが最適、となることを検証した結果です。おやじになった大志は半年以上親父としての時が経過して今も精一杯頑張っていますよー。

Akhmetzhanov AR, Lee H, Jung S-M, Kayano T, Yuan B, Nishiura H. Analyzing and forecasting the Ebola incidence in North Kivu, the Democratic Republic of the Congo from 2018-19 in real time. Epidemics 2019; in press.

Sakamoto Y, Nishiura H. Time dependent risk of cytomegalovirus infection in Japan. Mathematical Biosciences and Engineering 2019; in press.

Kayano T, Lee H, Nishiura H. Modelling a supplementary vaccination program of rubella using the 2012–2013 epidemic data in Japan. International Journal of Environmental Research and Public Health 2019; in press.

論文原稿が採用されました

以下の研究論文がAcceptとなりました。寺原さんはMPH修了を待たずして早くも1編目(戦略的に書いてきたのでもっとやってます)、Luis Ponce氏はPrinceton-UTokyoプロジェクトからのインターン生です。山さんのは修士論文になった研究ですね。たくさんの苦労をしましたが、ここでちゃんと実ったよ。ぐっさんのは原著論文ひ引き続くレターですが、暴露に伴う最近の感染の可能性をできるだけ減らした上でのIGRAデータの分析結果ですね。皆さん、おめでとう!

Ponce L, Kinoshita R, Nishiura H. Exploring human-animal interface of Ebola virus disease outbreaks. Mathematical Biosciences and Engineering 2019; in press.

Terahara F, Nishiura H. Fluoroquinolone consumption and Escherichia coli resistance in Japan: An ecological study. BMC Public Health 2019; in press.

Yamamoto N, Lee H, Nishiura H. Exploring the mechanisms behind the country-specific time of Zika virus importation. Mathematical Biosciences and Engineering 2019; in press.

Hamaguchi Y, Nishiura H. Estimate of the annual risk of tuberculosis infection in a general population of Japan. Journal of Theoretical Biology 2019; in press.